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遺産(不動産)の確認方法
1.まず最初に・・・
前号では、①遺産の確認が大切であること、②相続放棄について述べました。
本号では、遺産のうち不動産にスポットを当て、その確認方法について述べていきます。
2.不動産について
不動産は、比較的調査がしやすい財産です。
しかし、①複数の人と連名(共有名義)、②固定資産税等が課税されていない、③遠方の不動産を所有しているなど、相続登記のご相談を受けたときに相続人が把握していない不動産も意外と多いのが実情です。
「所有不動産は自宅の土地・建物のみ」と決め付けず丁寧に確認することが大切です。
3.具体的な確認方法
不動産の確認は、下記の資料を確認して行います。
(1)名寄帳
(2)課税明細書
(3)権利書・登記識別情報通知書
確認する際、上記(1)又は(2)の資料と(3)の資料を丁寧に照合することがポイントです。
4.名寄帳の注意点
名寄帳は、所有不動産を一覧にした書面で、所有している不動産の役所で発行してもらえます。
注意点は、①市町村単位の一覧であること、②共有名義についてはモレが生じる可能性があることです。
5.課税明細書の注意点
課税明細書は、毎年4月頃に固定資産税の納付案内に同封されている書類です。
注意点は、田・畑・山林など固定資産税が課税されていない場合は、送付されてこない点です。
6.権利書・登記識別情報通知書の注意点
権利書・登記識別情報通知書には、不動産の所在が記載されています。
注意点は、①死亡までに売却等処分されている可能性があること、②分筆などで一つの不動産が複数に分かれている可能性がこと、③合筆で複数の不動産が一筆となっている可能性があることです。
最終的な所有の有無は、登記事項証明書を取得して確認する必要があります。
7.道路の名義人の確認
所有している土地に接している道路の名義が誰かを確認することも大切です。
時々ですが、個人名義の道路があります。
「道路」ですので固定資産税が課税されず、また共有名義の場合が多いため、亡くなった方が権利書を所持していないことも多いからです。
8.最後に
少し先の話ですが、令和8年4月までに「所有不動産記録証明制度」がスタートします。
これは、特定の者が所有権の登記名義人となっている不動産を一覧的に証明する制度です。この制度がスタートすれば、今まで以上に簡易かつ正確に不動産を確認することができるようになります。
次号以降で、預貯金・株式や投資信託・借金の確認方法について述べていきます。
9.紙面版けやき通信
紙面版「けやき通信は、コチラからダウンロードできます。
紙面版けやき通信(2022.5月号確定版).pdf