WEB版けやき通信第41号「遺産の確認(各論)~不動産編~」

「遺産の確認(各論)~不動産編~」

1.まず最初に・・・
 本号では、様々ある遺産のうち「不動産」について、その確認方法を述べていきます。

2.具体的な確認方法
 不動産の確認は、下記の資料を確認して行います。また、(1)又は(2)の資料と(3)の資料を照らし合わせて確認することが大切です。
 (1)名寄帳
 (2)課税明細書
 (3)権利書・登記識別情報通知書

 (1)名寄帳について
 名寄帳は所有不動産を一覧にした書面で、所有している不動産の役所で発行してもらえます。
 注意点は、①市町村単位の一覧であること、②共有名義についても必要である旨を役場に伝え発行してもらうことです。

 (2)課税明細書について
 課税明細書は、毎年4月頃に送付されてくる固定資産税の納付案内に同封されている所有不動産の一覧表です。
 注意点は、田・畑・山林など評価額が低額で固定資産税が課税されない場合、送付されてこない・記載されない場合がある点です。

 (3)権利書・登記識別情報通知書について
 権利書・登記識別情報通知書には、不動産の所在が記載されています。
 注意点は、①死亡までに売却等処分されている可能性があること、②分筆・合筆などで一つの不動産が複数に分かれている、一つの不動産にまとまっている可能性があることです。そのため、登記事項証明書を取得して所有者を確認することが大切です。

3.道路の名義人の確認
 所有している土地に接している道路の所有者を確認することも大切です。時々ですが、個人名義の道路があるからです。
 「道路」ですので固定資産税は課税されず、共有名義の場合も多いため、亡くなった方が権利書を所持していないことも多いからです。

4.所有不動産記録証明制度(令和8年2月2日施行)
 少し先ですが、令和8年2月2日に「所有不動産記録証明制度」がスタートします。
 この制度は、特定の者が登記簿上の所有者として記録されている不動産を一覧的にリスト化して証明するものです。イメージとしては、現在市町村単位で発行されている名寄帳の全国版といった感じです。

 この制度がスタートすることにより、今まで以上に簡易かつ正確に不動産の確認ができるようになります。そして、所有不動産記録証明制度を実効性のある制度とするためには、次のことが大切となります。
 ①登記簿の所有者が現在の所有者と一致していること。
 ②登記簿の所有者の住所・氏名の記載が、現在の住所・氏名と一致していること。

 ①については令和6年4月1日にスタートした相続登記の義務化が、②については令和8年4月1日からスタートする住所・氏名変更登記の義務化が重要な意味を持ってきます。

5.紙面版けやき通信
 紙面版「けやき通信」は、コチラからダウンロードできます。
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