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遺産分割協議書の作成
1.まず最初に・・・
今月号では、相続人全員による遺産分割協議が成立した後に作成する「遺産分割協議書」について説明します。
「遺産分割協議書」とは、相続人の誰がどの遺産を取得することに決定したかという協議の内容を証明した文書のことです。
2.大前提
意外に思う方もいるかもしれませんが、「遺産分割協議書を作成しなければいけない」という法律上の決まりはありません。また、「遺産分割協議書に実印を押さなければいけない」という法律上の決まりもありません。
遺産分割は、相続人全員が合意した時点で有効に成立します。
3.なぜ遺産分割協議書を作成するの?
(1)後日の紛争予防のため、(2)相続手続きを円滑に進めるため、という2つの理由が考えられます。
(1)後日の紛争予防のため
遺産分割協議書を作成しないと、①相続人全員が合意しているか、②相続人の誰がどの遺産を取得したか、③いつ合意したかなどが明らかにならず、後日「言った」「言わない」の紛争が生じる可能性があります。
(2)相続手続きを円滑に進めるため
金融機関などで相続手続きをする際、遺産分割協議書の提出が求められます。
これは、手続先において上記(1)の①から③のことを確認する必要があるからです。
4.なぜ実印を押印するの?
一般的に、実印は非常に重要な書類に押印するときに使用する印鑑です。また、多くの人にとって、実印を押印するのは非常に重要な場面だと認識されています。
このように、重要な場面で重要な書類への押印にしか使用しない印鑑で押印してある書類は、真正に成立した信頼度が高い書類と考えることができるからです。
もちろん、相続手続きをする際、金融機関などの手続先が実印で押印してある遺産分割協議書の提出を求めているから、ということもあります。
5.遺産分割協議書の記載内容
法律で遺産分割協議書の作成を義務付けてない以上、その記載に関して「このようなことを記載しなければいけない。」という決まりもありませんが、一般的には次の事項を記載します。
①亡くなった方の氏名・最後の住所・最後の本籍・出生日・死亡日。
②相続人の誰がどの遺産を取得したか。
③相続人全員で協議して合意したこと。
④合意をした日。
⑤相続人の住所・氏名。
6.作成上の注意点
遺産分割協議書は、 ①後日の紛争予防のため、②相続手続きを円滑に進めるために作成しますので、相続人しか理解できない記載では不十分です。
そのため、様々な解釈ができるような曖昧な表現は避け、第三者が見ても相続人間で合意した内容と同一の内容と理解できるよう、その記載には十分注意を払う必要があります。
7.紙面版けやき通信
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