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遺言に関するQ&A 第10編
今月号は遺言に関するQ&Aの第10編として、「清算型遺言」をテーマとします。
第47号(2023年11月号)もご参照ください。
Q1.「清算型遺言」とはどのような遺言ですか?
A1.遺言者の財産を売却して金銭化し、遺言者の債務や売却に要した諸費用を支払った後の残額を相続人等に分配することを内容とした遺言です。
Q2.どのような場合に活用できますか?
A2.次のような場合に活用できます。
①空家対策
両親の死亡により実家が空家となることも珍しくはありません。
「空家である実家の相続」は、住まないにもかかわらずそれを取得した相続人に固定資産税や修繕費などの金銭的負担が生じるだけでなく、所有者としての管理責任も生じますので敬遠されがちです。
また「実家」ですので、「そんなに簡単に売却して良いのか?」といった売却に対する心理的プレッシャーを感じるかもしれません。
そこで、清算型遺言を活用し金銭で分配することにより、空家対策を行うことができます。
②争族対策
相続において取得する財産の「多い」「少ない」を巡るトラブルは少なからずあります。
そこで、不動産など細分化しにくい財産を売却して金銭化することで取得する財産の「多い」「少ない」を調整し、争族対策に繋げることができるかもしれません。
③寄付をしたい場合
遺言で寄付をする場合、不動産や動産などの「現物」は現実的に活用できるかといった問題や、固定資産税や管理面の負担などもあり固辞される場合もあります。
そこで清算型遺言により不動産や動産を金銭化することで、寄付を受取ってもらいやすくすることができます。
Q3.清算型遺言をする場合、遺言で決めておいた方が良いことはありますか?
A3.遺言執行者を定めておいた方がよいです。
Q4.遺言執行者はどのようなことをする人ですか?
A4.遺言の内容を実現するための手続をする人です。
遺言執行者は遺言の内容を実現するため各種の手続を行う人です。
清算型遺言の場合、①財産の売却、②債務や諸費用の支払い、③相続人等への金銭の分配など様々な手続きを行う必要がありますので、スムーズにこれらの手続を行うためにも予め「遺言執行者」を定めておいた方が良いと思います。
Q5.遺言執行者になるための特別な資格はありますか?
A5.ありません。
未成年者と破産者は遺言執行者になれませんが、弁護士・司法書士といった資格が必要ということはありません。
しかし、遺言執行者の役割は「遺言の内容を実現すること」ですので、それができるだけの実務能力がなければ務まりません。特に清算型遺言の場合、①財産の売却、②債務や諸費用の支払い、③相続人等への金銭の分配など法的知識や実務能力が求められます。また、中立・公正な立場からの手続も求められます。
そのため、弁護士・司法書士など法律専門職に遺言執行者を依頼することをお勧めします。
2.紙面版けやき通信
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