WEB版けやき通信第34号 遺言に関するQ&A 第8編

遺言に関するQ&A 第8編

 今月号は遺言に関するQ&Aの第8編として、「推定相続人同士が不仲・推定相続人が音信不通」をテーマとします。
 第45号(2023年9月号)もご参照ください。

Q1.どうして「推定相続人同士が不仲・推定相続人が音信不通」をテーマとしたのですか?
A1.遺言を作成することでスムーズな財産承継ができますので、是非とも遺言の作成を検討してもらいたいからです。

Q2.「推定相続人」とはどのような人ですか?
A2.ある人が亡くなることで相続人となる立場の人のことです。
 例えば、Aには妻Bと子Cがいるとします。
 もしAが死亡した場合、妻Bと子CはAの相続人となります。
 このように、Aが死亡した場合に相続人となる地位にいる人(今回のB・C)のことを「推定相続人」といいます。

Q3.どうして遺言があると相続手続きがスムーズになるのですか?
A3.相続人全員で話し合うことなく、遺言で定めた人に財産承継ができるからです。
 遺言がない場合、相続人間で遺産をどのように分けるかを決めるには、相続人全員で協議をして合意しなければいけません。この協議のことを「遺産分割協議」といいます。
 そして、遺産分割協議が「成立した」というためには、次の条件を全て満たす必要があり、一つでも条件をクリアできなければ遺産分割協議が成立したとは言えません。

 ①相続人全員で協議を行うこと。
 ②相続人全員が合意すること。

 ア)推定相続人同士が不仲のケース
 ②の条件を満たせない可能性が高いです。
 また事案によっては①の条件を満たすことも難しいことがあります。

 イ)推定相続人が音信不通のケース
 ①の条件を満たせない可能性が高いです。

Q4.遺産分割協議が成立しない場合、どうすれば良いですか?
A4.遺産分割調停や遺産分割審判といった家庭裁判所で行う裁判手続きで解決を図ります。
 遺言がない場合、まずは遺産分割協議からスタートするのが一般的です。
 しかし、「相続人の一人が協議に参加しない」「参加しても全員で合意することができない」ということもあります。そうなりますと、遺産の分け方が決まらないため財産承継ができないことになります。

 このような場合、家庭裁判所で行う「遺産分割調停」や「遺産分割審判」といった裁判手続きを利用して解決を図ることになりますが、多くの人にとって裁判所は縁遠いものでありますし、また最終的な結論がでるまでに相当な時間も要します。
 その点、遺言があれば、相続人同士で協議することなく意図した財産承継ができるという安心感と、裁判手続きをしなくてもよいという安心感の2つの安心感を得ることができると思います。

2.紙面版けやき通信
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