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「遺言に関するQ&A 第6編」
1.遺言に関するQ&A 第6編
今月号は、「遺留分」をテーマとしたQ&Aです。
Q1.「遺留分」とは何ですか?
A1.一定の相続人に対して最低限保証された相続財産に対する権利です。
Q2.遺留分を有している相続人は誰ですか?
A2.兄弟姉妹以外の相続人です。
相続人が長男Aと長女Bの2人の場合において、遺言者が「全ての財産を長男Aに相続させる。」という遺言を残して死亡したとします。この場合、長女Bは相続人として1/2の法定相続分を有し、1/2に相当する財産の取得を主張できます。
しかし、上記の遺言があると長男Aは全ての財産を取得できる一方、長女Bは一切の財産を取得できなくなります。これでは長女Bにとってあまりにも酷な結果となりますので、長女Bの相続財産に対する最低限の保障として「遺留分」という権利を認め、長女Bを保護しています。
遺留分を有している相続人のことを「遺留分権利者」といいます。遺留分権利者は、遺言者の配偶者・子(直系卑属)・親(直系尊属)であり、兄弟姉妹は遺留分権利者になりません。
Q3.遺留分割合はどれだけですか?
A3.直系尊属のみが相続人の場合は1/3、それ以外の場合は1/2です。
また、各相続人の遺留分割合は、上記の割合に自己の法定相続分を乗じた(掛けた)割合となります。
相続人が配偶者と子2人の場合、次のとおりとなります。
①配偶者の遺留分割合
1/4 (全体の遺留分割合1/2×法定相続分1/2)
②子の遺留分割合(一人当たり)
1/8 (全体の遺留分割合1/2×法定相続分1/4)
Q4.遺留分請求を拒むことはできますか?
A4.できません。
Q5.遺留分請求を受けた場合、どうすればいいですか?
A5.遺留分侵害額に相当する金銭を支払う必要があります。
相続人が長男Aと長女Bの2人の場合において、遺言者が「全ての財産を長男Aに相続させる。」という遺言を残して死亡したとします(遺産総額は4千万円とします)。
この場合、長女Bは遺留分権利者として1/4の遺留分割合(全体の遺留分割合1/2×法定相続分1/2)を有しています。そのため、長女Bは長男Aに対して、遺留分侵害額として1千万円の金銭請求ができ、長男Aは長女Bから遺留分侵害額請求を受けたらその請求を拒むことができず、1千万円の金銭を長女Bに支払う必要が生じます。
Q6.遺留分はいつまでに行使する必要がありますか?
A6.遺留分権利者が相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年以内に行使する必要があります。ただし、相続開始の時から10年を経過すると権利行使ができなくなります。
遺留分権利者が遺留分侵害額請求権を行使するか否かは自由です。
しかし、権利行使する場合は上記の期間内にする必要があり、上記期間内に権利行使しないと権利が消滅してしまいますので注意が必要です。
2.紙面版けやき通信
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