WEB版けやき通信第30号「遺言に関するQ&A 第4編」

遺言に関するQ&A 第4編

1.遺言に関するQ&A 第4編
 今月号は、自筆証書遺言と公正証書遺言の特徴、メリット・デメリットを説明します。

Q1.自筆証書遺言とは?公正証書遺言とは?
A1.自筆証書遺言は、遺言の内容全部を自書(手書き)して作成する遺言です。
 公正証書遺言は、公証人に遺言の内容を伝え、公証人が作成する遺言です。

Q2.それぞれの遺言の特徴は?
A2.自筆証書遺言は、安価で気軽に作成でき、遺言の内容を秘密にしておけるなどがあります。
 公正証書遺言は、確実に作成及び保管ができ、検認も不要です。

 自筆証書遺言は、原則として遺言の内容全部を自書しますので、紙とペンがあれば作成することができます。また、作成時に第三者の立会は不要ですので、他人に内容を知られることはありません。
 なお、平成31年1月13日より、一部(財産目録)を自書せずパソコンなどで作成できるようになりました。

 公正証書遺言は、公証人が作成しますので作成方法の間違いにより無効となることはなく、作成した遺言も公証役場で保管されますので、「紛失」「改ざん」といったリスクもありません。また、遺言に基づいて財産承継手続きをするときも、家庭裁判所での検認手続きを経ずに進めることができます。

Q3.自筆証書遺言のメリット・デメリットは?
A3.次のとおりです。

メリット(一例)
 ①紙とペンがあれば作成できるため、安価に気軽に作成できる。
 ②第三者の立会が不要なため、内容を秘密にできる。

デメリット(一例)
 ①自書しなければいけないため、長文・複雑な内容には向かない。
 ②日付の記載や押印がないなど、形式を間違えると無効となる。
 ③遺言書を紛失・改ざんされるリスクがある。
 ④家庭裁判所での検認手続きが必要。

Q4.公正証書遺言のメリット・デメリットは?
A4.次のとおりです。

メリット(一例)
 ①公証人が作成するため、形式を間違えることがない。
 ②公証人が作成するため、長文・複雑な内容であっても作成しやすい。
 ③公証役場で保管されるため、紛失・改ざんのリスクがない。
 ④家庭裁判所での検認手続きが不要。

デメリット(一例)
 ①公証人に作成手数料を支払う必要がある。
 ②証人2人以上の立会が必要であるため、他人に内容を知られる可能性がある。

 自筆証書遺言と公正証書遺言のメリット・デメリットは裏表の関係にあります。どちらを選択するかは遺言者の自由ですので、それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解することが大切といえます。
 次回は、自筆証書遺言に関連する改正点や「検認」について説明します。

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