WEB版けやき通信第29号「遺言に関するQ&A 第3編」

遺言に関するQ&A 第3編

1.遺言に関するQ&A 第3編
 先月号では、法的な効力が生じるか否かかの観点から「法定遺言事項」と「付言事項」について説明しました。
 今月号では、遺言を作成しておいた方が良いケースなどについて説明します。

Q1.遺言を作成しておいた方が良いケースは?
A1.①お子さんがいないご夫婦、②相続人となる方同士が不仲、③相続人となる方の中に音信不通の方がいる、④相続人となる方がいないなどのケースでです。

 相続人が被相続人の財産をそれぞれ取得するには、相続人全員で話し合って合意する必要があります。この話し合いは、必ず「相続人全員」でする必要があります。

 お子さんがいないご夫婦(上記①のケース)

 相続人は「配偶者のみ」と思っている方が多いようですが、配偶者の他に被相続人の兄弟姉妹(場合によっては甥・姪)が相続人となります。そのため、事案によっては相続人が非常に多くなり、相続人全員で話し合うことが困難であったり、配偶者からすれば義理の兄弟姉妹と話し合うことになりますので、精神的にハードルが高かったりします。

 相続人となる方同士が不仲、相続人となる方の中に音信不通の方がいる(上記②③のケース)

 当初より、相続人全員で話し合うことが困難であることが予想されます。

 遺言があることで、相続人全員と話し合うことなく遺言に記載の通りの財産承継が可能となりますので、上記①~③のケースでは遺言の作成が有益と言えます。

 相続人となる方がいない(上記④のケース)

 被相続人の財産は最終的に国に帰属します。
 国に帰属させられるぐらいならお世話になった友人や知人に渡したい、施設や故郷に寄付したいと思われるようであれば、それを実現するためにも遺言の作成をご検討ください。

Q2.遺言を作成するタイミングは?
A2.思い立ったが吉日です。

 遺言を作成するには、遺言を作成できるだけの判断能力が必要です。
 遺言の作成を思い立ち、実際に行動に移すまでにも気持ちが揺れ動いたりするなど時間を要するのが実情です。
 「まだ早い」「いつでも作成できる」と先延ばしにしているうちに認知症などで判断能力が低下した、突然病状が悪化してそのまま亡くなった、というお話しをよく耳にします。
 いつ何時・何が起こるか分かりませんので、「思い立ったが吉日」。早めの実行が大切です。

Q3.遺言の作成方法は?
A3.自筆証書遺言と公正証書遺言があります。

 遺言作成の方法には、主に①自筆証書と②公正証書の2種類の方法があります。どちらを選択するかは遺言者の自由です。
 自筆証書は、原則として遺言内容全部を自書しなければいけないという特徴があります。公正証書は、公証人が作成に関与するため信頼度が高いという特徴があります。
 なお、それぞれの特徴やメリット・デメリットの詳細は、次号でお伝えします。

2.紙面版けやき通信
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