WEB版けやき通信第37号「新・相続登記編 スタート」

新・相続登記編 スタート

1.はじめに
 2023年7月号から先月号まで、約1年半かけて「遺言」をテーマに連載してきましたが、今月号からまた振り出しに戻り、相続登記について連載していきます。内容は前回と重複するところもありますが、相続登記が義務化されたり、「相続土地国庫帰属制度」という新しい制度もスタートしました。相続登記を取り巻く環境も変化していますので、新しい情報も取り入れながら皆さまにご紹介していこうと思います。

2.「相続登記」って何?
 「相続登記」とは、法務局が管理している登記簿に登録(この登録のことを「登記」といいます。)されている土地や建物の所有者が亡くなった時に、登記簿の名義を相続人に変更する手続のことを言います。
 ちなみに、相続以外にも不動産を買ったとき(売買)や、無償で譲り受けたとき(贈与)などにも登記簿の名義人に変更が生じますので、買主や譲受人に名義を変更する登記が必要となります。

3.相続登記が義務に!
 令和6年4月1日より、3年以内に相続登記することがが義務付けられ、その義務違反に対しては10万円以下の過料が処せられることになりました。

4.相続登記の義務化のポイント
(1)3年の起算点
 相続登記は「3年以内」にする必要がありますが、どこから起算して「3年」かが重要となります。
 これについては、①自分自身のために相続の開始があったことを「知り」、②かつその相続により不動産の所有権を取得したことを「知った」日から起算して「3年」ということになります。

(2)過料の運用
 正当な理由がないにもかかわらず相続登記をしない場合、10万円以下の過料に処せられます。
 その運用ルールですが、過料に処することが目的ではなく、相続登記をしてもらうことが目的です。そのため、「一定期間内に相続登記をすることを催告し、それにもかかわらず正当な理由なくその期間内に相続登記を行わない場合」に過料を処すという運用です。

(3)令和6年4月1日より前に生じた相続
 相続登記の義務化は、令和6年4月1日より前に生じた相続にも適用があります
 この場合、3年の起算日は令和6年4月1日となります。ずっと以前の相続だからと言って無視することはできません。

5.「相続登記」の手続き
 相続登記は、①戸籍謄本で相続人を確定し、②誰がどの不動産を取得するかを話し合いで決め、③遺産分割協議書等を作成し、④申請書を法務局に提出して行います。
 相続登記は司法書士に依頼することなく行えますが、司法書士に依頼すれば、依頼者である相続人に代わり司法書士が、①戸籍謄本を取得して相続人を確定し、②遺産分割協議書や登記申請書を作成し、③法務局に申請を行います。

 お仕事がお忙しい方・手続きの方法が分からない方は、司法書士が相続登記をスムーズに行えるようサポートしますので、ご安心ください。

6.紙面版けやき通信
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