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残されたペットのお世話はどうすれば・・・
1.残されたペットのお世話はどうすれば・・・
最近では、お子さんが独立したのを機にペットを飼うなど、皆さまのまわりでもペットを飼っている高齢の単身者やご夫婦も多いかと思います。
今回は、「残されたペットの飼育」をテーマに説明していきます。
2.ペットの法律上の位置付け
ペットは法律上、時計や指輪などと同じ「動産」と位置付けられています。
3.問題の所在
上述のとおりペットは動産ですので相続の対象となりますが、単なる「モノ」ではなく命のあるものですので、適切に飼育がされなければペットの命や健康状態にも影響が生じるという問題があります。
そのため、自分の死後の飼育にも目を向ける必要があり、適切に飼育できる人に飼育をお願いすることを考えていかなければなりません。
4.遺言でペットの飼育をお願いする方法
遺言を使ってペットの飼育をお願いする方法として、次の2つが考えられます。
①ペットを飼育するという負担を付した遺贈。
②付言事項でペットの飼育を依頼する。
5.ペットを飼育するという負担を付した遺贈について
特定の財産を遺贈する代わりに、財産を譲受けた方(「受遺者」といいます。)が何らかの義務を履行(負担)する遺言を、「負担付遺贈」といいます。
この負担付遺贈を活用すれば、ペットの飼育をお願いできます。遺言文言(一例)は、次のとおりです。
「1.遺言者は、Aに対し、○○銀行△△支店の普通預金(口座番号1234567)全部を
遺贈する。
2.Aは、上記1の遺贈の負担として、遺言者の飼い犬■■の世話をし、死亡後は適切に埋
葬しなければならない。」
負担付遺贈は、受遺者がその負担を履行しなければ、相続人に負担付遺贈の取消権が発生します。そのような意味で、受遺者にペットの飼育を強くお願いできます。
6.ペットの飼育を依頼する付言事項について
「付言事項」とは、その記載により法律上の効果までは生じないものの、遺言者の希望などを書き記したものです。詳しくは、けやき通信第49号をご覧ください。
付言事項を活用した遺言文言(一例)は、次のとおりです。
「1.遺言者は、Aに対し、○○銀行△△支店の普通預金(口座番号1234567)全部を
遺贈する。
<付言>
遺言者は、Aに対し、遺言者が生前飼っていた飼い犬■■の世話をしてもらい、死亡後は
適切に埋葬してもらうことを希望する。」
付言事項は法律上の効果を生じさせるものでないため、負担付遺贈に比べれば柔らかなお願いという感じとなります。
7.大切なこと
ペットは命あるものです。負担付遺贈・付言事項どちらを選択しようが、ペットの命や健康状態に影響が生じないよう、適切に飼育してくれる方に事前にしっかりお願いをしておくことが大切と思います。
8.紙面版けやき通信
紙面版「けやき通信は、コチラからダウンロードできます。
ニュースレター(2024.2月号確定校).pdf