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遺言の活用~寄付~
1.遺言を使った財産の「寄付」について
「自分がお世話になった施設に寄付をしたい」「自分には相続人がいないので、国に没収されるぐらいなら自分の希望先に寄付をする」。
寄付を考える事情は様々かと思います。
今回は「寄付」にスポットをあて、遺言を使った寄付のポイントについて説明していきます。
2.遺言による寄付
「寄付」は、生前にすることもできますし、遺言に記載してすることもできます。
遺言による寄付のメリットは、遺言の効力は「遺言者が死亡したとき」に生じますので、死亡時まで財産を自分の手元に残しておけることです。つまり、自分の生活が苦しくなった場合、寄付を予定していた財産を売却して、自分の生活の糧にすることができることです。
では次に、寄付をするときのポイントを確認していきます。
3.ポイント1(事前相談をする)
寄付すれば、「寄付先は当然寄付を受け取る。」と思っている方もいるかもしれません。
しかし、組織運営の透明化を図るとか、寄付の意思を示した方とそうでない方とで施設内の待遇に差があってはならないことを明確にするためなど、寄付先の内部ルールで「寄付は一切受付けない。」と定めているところもあります。
寄付は、寄付先が受け取って初めて成立しますので、事前に寄付を受付けているか確認することが大切です。
4.ポイント2(現金で寄付する)
不動産・動産・株などを寄付しても、寄付先としてはそれを現金化しないと活用できない場合がほとんどです。そうなると、寄付先は「売却」という一手間を加える必要があり、また売却に伴う税負担などの問題も生じます。そのため、極力現金で寄付した方が、寄付先も受取りやすく活用もしやすいと思います。
もし、不動産などを寄付しようとお考えの場合は、先月号(第47号)で説明した「清算型遺贈」を活用するのが良いと思います。
5.ポイント3(特定遺贈にする)
遺贈には、①包括遺贈と②特定遺贈の2種類があります。
①包括遺贈とは
「遺産の全部」とか「遺産の2分の1」といった全体に対する一部の割合を示してする遺贈です。
特徴として、遺贈を受けた方(「受遺者」といいます。)は、「相続人と同一の権利義務を有する」と定められていますので、亡くなった方に借金があると、その借金も負担することになります。
②特定遺贈とは
遺贈する財産を個別具体的に示してする遺贈です。例えば、「○○銀行の預金のうち金1000万円」といった感じです。
特徴として、受遺者は遺言に記載された財産のみを取得でき、仮に遺言者に借金があってもそれを引継ぐことはないということです。
寄付先によっては、包括遺贈による寄付は、借金を引継ぐ可能性があることから消極的に考えているところもあるようです。ですので、寄付する場合は「特定遺贈」でするのが良いと思います。
6.紙面版けやき通信
紙面版「けやき通信は、コチラからダウンロードできます。
ニュースレター(2023.12月号).pdf