.png)
遺言の活用~親が違う子がいる編~
1.異母・異父きょうだいの相続
親が亡くなった場合、相続人の中に異母・異父きょうだいがいると相続関係は複雑化します。
今回は、相続人の中に「親が違う子」がいるケースについて説明します。
2.相続人の確認
被相続人の「子」は、第一順位の相続人となります。
この「子」ですが、法律上の親子関係があれば父又は母が違っても「子」であることに変わりないため、異母・異父きょうだいとして共同相続人となります。
3.遺産分割協議の確認
被相続人の遺産を分配する場合、遺言がなければ、相続人の誰がどの遺産を取得するかは話し合いで決まります。この話し合いを「遺産分割協議」といいます。
そして、遺産分割協議は相続人全員で行う必要がありますので、異母・異父きょうだいとも話し合いをする必要があります。
4.問題の所在
異母・異父きょうだいであっても、一緒に生活したことがあればその存在も明らかですし、関係が良好であれば通常の相続と同じで話し合いもスムーズに進むかもしれません。
しかし、異母・異父きょうだいの存在を「秘密」にしていることも珍しくありません。実際の事案でも、相続人確認のため戸籍を取得している最中に、異母・異父きょうだいの存在が判明することもあります。
そして、このようなケースでは、そもそもその存在を知らないため、「相続人となった事実」「相続手続きに協力して欲しいこと」を伝えるのに一苦労あります。また、「どのような人か分からない」「悪感情をもっていたらどうしよう」といった不安感もあると思います。
5.遺言を作る必要性
以上のように、親が違う子がいる相続の場合、相続関係が複雑となり、また感情的な問題が絡むことも考えられるため、遺産分割協議がスムーズに進まない可能性があることは想像に難くありません。
しかし、遺言があれば、親が違う子(つまり、異母・異父きょうだい)と話し合うことなく遺言書に記載のとおりの財産承継ができます。
つまり、遺言書があることでスムーズな財産承継が可能となります。
6.遺留分について
「遺留分」とは、一定の相続人に認められている被相続人(=遺言者)の意思によっても奪うことができない相続分のことです。そして、異母・異父きょうだいにも遺留分はあります。
遺留分は権利ですので、それを使うか否かは相続人の自由です。しかし、使われた場合、それに対して「金銭」で応じる必要があります。ですので、① 預貯金や生命保険を利用して金銭の工面をする、②異母・異父きょうだいにも財産を承継させるなど、遺留分を意識した遺言書作成が必要となります。
7.最後に・・・
「親が違う子がいる」ケースは、その事実を打ち明けられず、対策がされないまま相続が発生することも少なくありません。
しかし、相続手続きがスムーズに進まないことも多いですので、終活の一環として遺言の作成をご検討してみてください。
8.紙面版けやき通信
紙面版「けやき通信は、コチラからダウンロードできます。
2023.10月号.pdf